中国は今も囚人から臓器を摘出している?
臓器を摘出される囚人は誰なのか、特定の集団が標的にされているのか尋ねると、ブラムシュテット教授は、「彼らは良心の囚人で、宗教的あるいは思想的な面で中国の政策に反する信念を持つ人々だ」と答えた。
中国政府は2014年12月、処刑された囚人からの臓器摘出はもう行わないと発表したが、「Doctors Against Forced Organ Harvesting(臓器摘出の強制に反対する医師団/DAFOH)」は、データによれば中国の臓器提供が実際には増加しおり、もし摘出行為が本当に中止されたのであれば、提供数が増加することはありえないはずだと述べている。また、一部のキリスト教徒や法輪功支持者などの囚人たちからの臓器摘出は今も続いていると指摘されている。
背景には儲かる売買市場
専門家のなかには、臓器を提供するか否かについて、囚人たちが自由に選択できるようにすべきだと考える人たちもいるが、その場合も条件をつけている。当該国の政府が歴史的に人権保護の立場をとっており、囚人の権利が侵害されないよう独立監視団体が間に入るという条件だ。中国は、この2つの条件のどちらにも当てはまらない。
【参考記事】ISISが臓器摘出認める宗教見解、相手の宗教は問わず
キルガーと共に『中国臓器狩り』の共著者でカナダ勲章受賞者であるデービッド・マタスが提出した2007年の報告書「Bloody Harvest(血みどろの摘出)」によると、「China International Transplantation Network Assistance Centre(中国国際移植ネットワーク相談センター)」というウェブサイトには2006年、入手可能な臓器が高値で掲載されていたという。例えば、肝臓は9万8,000~13万ドル、肺は15万~17万ドルだった。これは、中国当局の役人にとっては、臓器摘出の金銭的インセンティブがあったことを意味する。
米国のリーダーたちは中国当局に対し、現在行われているような囚人からの臓器摘出は倫理にもとる行為であり、いかなる場合においても許されないことだと明確に表明しなければならない。米国や他の諸国、国際管理機関から圧力をかけない限り、この人道的危機に終止符が打たれることはないだろう。