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為替日銀マイナス金利「世界の通貨安志向浮き彫り」
アリアンツの首席経済アドバイザーが、各国が成長促進のために通貨安に動いていると指摘
1月29日、アリアンツのモハメド・エラリアン氏は、日銀のマイナス金利導入が世界的な通貨安志向を浮き彫りにしていると指摘した。写真は2015年11月、ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
独保険大手アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は29日、日銀のマイナス金利導入は、多くの国が成長支援のために通貨安を望んでいることを浮き彫りにしていると指摘した。ロイターのインタビューに応じた。
「世界的な影響を考慮せず、自国の目標達成にまい進する動きが出ている」とし、「これが顕著なのが為替だ。米国を除き、大半の国は通貨安を望んでいる。日銀の決定もこれに該当する」と述べた。
また「米連邦準備理事会(FRB)が、非常に慎重にアクセルから足を踏み外そうとし続けるなか、欧州中央銀行(ECB)、日銀、 中国人民銀行(中央銀行)は、さらに力強く(景気)刺激のアクセルを踏もうとしている」と指摘。各国中銀政策の方向性が異なり、世界的な政策調整の動きもない、新たな現実の到来と述べた。
各国は、システムが対応可能な緩やかな成長を創出する政策を模索するのではなく、わずかな成長を目指すにとどまっていると指摘した。「これは大きな悲劇だ。より高い成長ができるのに、勢いが抑えられている」とした。
日銀のマイナス金利導入などを受け、円は対ドルで急落した。エラリアン氏は、ドルがさらに5~10%上昇すれば、「FRBは懸念を抱き始めるだろう」と見通した。
世界経済成長の鈍化や市場混乱を受けて、エラリアン氏は、年内の米利上げは2回というのが基本シナリオと説明。経済や金融市場情勢が悪化すれば、1回かゼロとなる可能性もあると予想した。