中国、軍の大規模改革――即戦力向上と効率化
また、これまで軍区を管轄していた総参謀部を中心としてでなく、習近平が主席を務めている中央軍事委員会と戦区の二つのレベルの「聯合作戦指揮体制」という機構を構築し、途中の指揮系統を省略して効率化を高めていくという狙いもある。
情報戦という側面を考えれば、瞬時にして戦場の形勢が変化する可能性もあり、電光石火のごとき変化に俊敏に対応するには、命令指揮系統が多いと、作戦を誤る危険性もあるので、一気に動ける聯合作戦体制が不可欠なのだと、中国政府関係者は説明している。
(その意味で、総参謀部は、これまでのような絶大な力を持ちえなくなるかもしれない。)
4大戦区案に関しては今のところ、「西北戦区(蘭州軍区+成都軍区)、華南戦区(広州軍区+南海艦隊+東海艦隊)、華北戦区(南京軍区+済南軍区)、東北戦区(瀋陽軍区+北京軍区+北海艦隊)」という話もチラホラとあり、そうではなくて「東西南北+中部」の5区分にするとも言われており、これに関しては決定的な決議はまだなされていない。
戦略支援部隊と紀律検査委員会
このたび創設された部隊の中に、「戦略支援部隊」というのがあるが、これに関して1月1日に開催した国防部外事弁公室による記者会見で、「これは国家安全を守る新型作戦戦力で、軍事力を高めると同時に総合保障能力を高める」と回答している。上記の改革が実行されたのちに正式に動き始めるとのこと。
それ以外にも軍事委員会内に紀律検査委員会を設置し、軍事法院(軍事裁判所)や軍事検察院(検察庁)も設けて、腐敗の防止に軍事委員会が直接目を光らせることなどが、軍事委員会改革工作会議で決議されている。
このとき発表された「国防と軍隊改革を深化させることに関する意見」をめぐって、軍事専門家に新華社がインタビューした記事が、たとえば今年1月1日の中華人民共和国国防部ウェブサイトや、1月2日の人民網などに転載されている。
中国語だが、詳細を知りたい方は、これらのページをクリックしてみていただきたい。
中共中央軍事委員会の強化と集中的な統一指揮
軍事はもちろん中央集権的でないと強烈な力を発揮できないだろうが、このたびの大規模軍事改革から、「即戦力の向上と命令指揮系統の効率化」以外に、「中共中央軍事委員会の強化と集中的な統一指揮」を目指していることが見えてくる。
それはすなわち、そのトップに立つ習近平主席の一極集中化を際立たせている。