深セン土砂崩れ遠因、党と政府側の責任者は?――浮かび上がった不正の正体
どうも、新華網にしては、ずいぶんと勇気のある真実を書くものだと感心していたのだが、まさか「新華網-深セン」の記事が削除されるとは思わなかった筆者の判断が甘かった。ダウンロードしてから作業すべきだった。この記事は、「新華網-新華視点」の某記者が追跡したスクープだったのだが、ただこの後に書いてあった基本的な情報は、どの部門に行っても「たらい回し」にされただけで、ノラリクラリと回答を交わしているというものである。そして一か所だけダウンロードしておいたのだが、2015年7月に緑威公司が、光明新区の城管局に「期限を過ぎているので、これ以上の土砂運搬をしないようにしてくれ」と要求したとあった。
当該記事の最後の言葉が、「この事故は事件であり、背後にはもっと深い鍵が潜んでいる」と書いてあったのは確かだ。
そこで筆者は、その「深い鍵」の追跡を重んじて、先に王栄の考察をしている内に体力の限界にきてパソコンを閉じてしまったのが迂闊だった。申し訳ない。
現時点で関係企業の責任者はすでに拘束されているので、いずれ王栄への調査が始まることだろう。
なお、王栄のあとに就いた深セン市の書記・馬興瑞は、習近平国家主席と李克強国務院総理から現場の陣頭指揮に当たれと直接指示を出されており、「政界の新星」と呼ばれている人物なので、王栄後の責任はまぬかれないとしても、主たる責任は王栄に行くものと思われる。特に馬興瑞は習近平の妻の友人で、石油閥の腐敗問題に関して厳しい態度に出ているので、「安全」だろうと判断される。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。