【地図で読む】この宗教地図が間違っている4つの理由
<上の地図 やや複雑でもより正しい地図:イスラム教の例>
イスラム教圏を拡大したこの地図は、左ページの地図に対する批判をかわそうとするものである。国境には従わず、人の住んでいる地域だけに色をつけている。違う宗派や学派をいろいろな色で表わし、イスラム教としては一つで、聖典である『クルアーン』[「コーラン」は欧米表記に従ったもので、アラビア語音は「クルアーン」]が一つであっても、解釈や文化、イスラムの伝統はさまざまであることを示すものだ。このようにイスラム教は、ほかの宗教もすべてそうだが、ひとかたまりではない。一部の国は『クルアーン』の法律を憲法――シャリーア(イスラム法)――にまで取り入れている。
宗教の占める位置や、宗教による束縛もまた、社会によってそれぞれ違っている。さらには、この地図では世界にたくさんいるはずの少数派としてのイスラム教徒を示していない。というのも、そういう人たちは1カ所に集中しておらず、地理的に特定することができないからである。たとえば、西欧では700 万~1000 万人、中国では、少数派とはいえ3500 万~1億6000 万人のイスラム教徒がいると言われている。中国のこの数字の開きは、情報源と統計に問題があることを示している。
知っていましたか?
エルサレムは三つの宗教の聖地である。ユダヤ教にとっては、ユダヤ人の最初の神殿が建設された街である。キリスト教にとっては、イエス・キリストの墓がある街。イスラム教にとっては、預言者ムハンマドがある夜に昇天したのがエルサレムである。
※第5回【地図で読む】人類は1987年以降、資源の「債務超過」状態にある:はこちら