中国人留学生8000人が米大学を退学に?
大学経営のためリッチな外国人を積極的に勧誘した結果、学力のほうは疎かに
質が犠牲に アメリカへの留学生の3分の1は中国人 STRINGER-REUTERS
アメリカの大学が退学処分にした中国人留学生は過去3年間で数千人にのぼることがわかった。中国人留学生に高等教育サービスを提供する米ホールレンエデュケーションが発表した最新のレポートで明らかになった。
5月に発表された同レポートによると、アメリカの大学は2012〜2013学年度以降、「不正行為や成績不振」を主たる理由に、1657人にのぼる中国人留学生を除籍している。
だがこれは氷山の一角で、実数は8000人にのぼるかもしれないと、ホールレンエデュケーションのアンドリュー・チェン最高開発責任者(CDO)は言う。「留学生の多くは口を閉ざすか、本国に帰ってしまうことが多い」ため、実態の把握は難しいという。
同レポートは、中国教育部の数字を引用しながら、50万人近くの中国人が海外で勉強していると報告。また米国際教育協会(IIE)によれば、アメリカが2013〜2014学年度に受け入れた留学生は88万6052人にのぼるが、その31%が中国からの留学生だった。
中国からの留学生が増えるのは不思議ではない、「一部には、中国人留学生の募集に非常に積極的な大学がある」とチェンは言う。「しかし、中国人留学生をどう管理し、学業に専念させればいいのかという点に関しては、それほど積極的ではないと言わざるをえない」
留学生が払った学費で優秀なアメリカ人に奨学金を
アメリカの大学が、中国をはじめとする外国からの学生を欲しがるのには理由がある。留学生にはアメリカ国内の学生ローンを受ける資格がないため、多くが授業料全額を自己負担で支払うからだ、と高等教育の専門家たちは言う。
「当初は、人種や国籍などの背景が多様性に富んだクラスをつくることが目的だった」と、ミシガン大学の高等・中等後教育研究センター所長マイケル・バステードは大学側の取り組みについてこう話す。「当時の留学生の多くは非常に優秀だった。だが一方で、経営上の課題が浮上した。赤字を避けたい多くの大学にとって、授業料を全額前納することを厭わない国々の学生を増やすのは経営戦略の一環だった」