アサド政権の「樽爆弾」が自国民を虐殺する
その翌月にシリア国内の活動家らは、アサド政権による塩素ガス攻撃があったと非難。2つの町で少なくとも合計13人が死亡したとされる。
アムネスティはアレッポ在住または元住民の78人に聞き取り調査を行った。「樽爆弾は最も悲惨な兵器だ。やられたら体はバラバラになる。(しかも)落下してくるのがはっきり見える」と、今はトルコに暮らす女性は言う。
「爆撃後、頭部のない子供の遺体や、体の一部がそこらじゅうに散らばっているのを見た。地獄絵図だった」と、30歳の工場労働者は振り返った。彼らは、世界の人々に現実を知ってもらいたいという思いでトラウマ体験を語っている。
アムネスティによれば、樽爆弾攻撃の回数は昨年9月から今年3月の間に一時減ったものの、再び増加に転じ、4月には85回の攻撃で民間人110人が死亡した。「シリア全土で行われる違法行為の数々が、アレッポに集中している」と、ボーランドは言う。
今月に入ってから、国連の仲介によりジュネーブで新たな和平協議が開始された。シリア国内の各勢力代表のほか、トルコ、イランなども参加している。
ボーランドは対シリア武器禁輸の合意を期待する。「(報告書発表の)タイミングは重要だ。アレッポでは人々が耐え難い苦しみを受けていると、国際社会に訴えたのだ」