イラン核合意の実現はアメリカが障害に?
即時解除は「幻想に近い」
欧米諸国による長年の制裁で、イランは大きな痛手を被ってきた。失業率は上昇し、輸入品は不足する一方。アメリカはイランに対し、核燃料の保有量を削減して国連の査察を受け入れるなら、経済制裁を徐々に解除する用意があると伝えている。
とはいえ、イラン側が満足できるレベルまで制裁を解除するのは容易ではないと、ジョージタウン大学教授で中東問題専門家のポール・サリバンは指摘する。アメリカの経済制裁の中には、79年の駐イラン米大使館人質事件後に決定したものもある。大統領令によるものから議会の決定によるものまで「入り乱れている」とサリバンは言う。「これらの制裁が直ちに解除できると考えるのは幻想に近い」
イランの強硬派はアメリカへの不信から合意に反対するが、イランの最高指導者ハメネイ師は「当面、彼らは大きな障害にならない」と、協議を支持する。
だが一方のアメリカはといえば、障害だらけだ。米議会の保守強硬派は、いかなる合意形成にも反対と叫ぶばかりか、新たな制裁を科すべきだとまで主張している。オバマは彼らに拒否権を行使して対抗するかもしれないが、政権への強力な圧力になっているのは間違いない。
最終合意は困難を極めるだろうと元国連のシャイアは言う。イランとの協議は、今後の核問題を解決する上での必要不可欠な第一歩になる。もし交渉が決裂し、アメリカが責任を問われる事態になれば、制裁という手段そのものにも疑問符が付く。
「国際社会に制裁強化を望む雰囲気はない」とシャイアは言う。アメリカだけが、例外のようだ。
From GlobalPost.com特約
[2015年4月14日号掲載]