窮乏ギリシャが蒸し返す対ナチス戦争賠償の本気度
ドイツは解決済みの立場
ナチスの軍隊は3年半にわたってギリシャを占領し、国民を苦しめ経済を破壊した。アテネだけで餓死者が4万人を超え、ギリシャ中央銀行は膨大な資金を奪われた。
だがドイツ政府は、東西両ドイツが旧連合国の米英仏ソと90年に調印したドイツ最終規定条約で、賠償問題は解決済みという立場を取っている。
メルケル政権のステフェン・シーバート報道官は、賠償金の問題とギリシャへの補償は「法律的にも政治的にも解決済みだ」とした上で、各国は将来に目を向けて現在の問題に集中すべきだと言う。
ドイツ財務省の報道官も、賠償金に関するギリシャ政府との交渉の必要性を否定し、ギリシャの債務問題から目をそらさせる策略だと主張した。
財政危機以来、ギリシャとドイツの緊張は高まる一方だ。ドイツは10年にユーロ圏がギリシャに対して行った協調融資を主導する立場だった。ドイツの閣僚たちはギリシャの予算と賃金の削減を提唱した。いまギリシャ政府は、総額2400億ユーロに上る救済融資の内容について交渉を進めている。
ユーロ圏の財務相会合は先月、ギリシャのバルファキス財務相が改革のリストを提出すると約束したことから、ギリシャの金融支援プログラムの4カ月延長に合意した。
だがブリュッセルで先週行われた同会合では、デイセルブルム議長(オランダ)が「時間を浪費している」とギリシャを非難。バルファキスにまじめに交渉に取り組むこと、より詳細な改革のリストを提出することを求めた。
[2015年3月24日号掲載]