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フランス

イスラムへの憎悪を煽るパリ週刊誌銃撃事件

2015年1月8日(木)18時16分
ウィリアム・サレタン

 問題は編集部の襲撃にとどまらない。ソーシャルメディアでは今、この銃撃を讃えるコメントが飛び交っている。「イスラム教を冒涜して名を売った週刊誌」が攻撃されて、「胸がスカッとした」といった書き込みも目につく。フランスの大半のイスラム教徒を代表する穏健派は、残虐な犯行として銃撃テロを厳しく糾弾している。しかし、じわじわと支持を伸ばしてきたフランスの極右政党・国民戦線が事件をきっかけに一気に勢力を拡大し、政権獲得に駒を進める可能性もある。

 ウエルベックは新作小説を書き換えたほうがよさそうだ。近未来のフランスの悪夢を描くなら、イスラム過激派ではなく、排他的な右翼に支配される筋書きのほうがより現実的だ。万一そんな事態になったら、極右政権が感謝すべき相手は、シャルリ・エブドではなく、同誌を襲ったイスラム過激派だろう。

© 2015, Slate

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