中国密漁船を破壊せよ インドネシアの選択
「手加減するな」との声も
ただ違法操業に対しては、各国からの要請にもかかわらず、インドネシア当局は今のところ厳罰で臨む方針を変えていない。違法操業する外国船に対して監視・捜査当局が沈没を含む厳罰で臨むことは09年の漁業法で定めている、と一貫して主張している。ジョコ自身は諸外国の抗議に対し、「純粋な刑事事件」であって「周辺国との関係には影響しない」と説明するよう外相に要請済みだと弁解した。
インドネシア国内でも、有効な抑止策にするためには、どの国の船であろうと沈没させるべきだという声が上がっている。インドネシア防衛大学のサリム・サイド教授は、政府は「違法操業する船に対して手加減すべきではない。インドネシアの領海に侵入する余地を二度と与えてはならない」と発言した。
相手は中国船だけではない。先月上旬に西カリマンタン州付近の海域で拿捕したタイの漁船5隻についても、リザルは沈没させる可能性を示唆した。スシも近日中に再び外国の漁船を沈没させると発言したが、詳細についてはコメントを避けた。
インドネシアが拿捕した外国船は先週の時点で150隻を超えているとみられている。ジョコによれば、領海内で違法操業する船は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、中国の漁船を中心に毎日およそ5400隻。蜜月の終わりを覚悟してでも強硬策を模索するという、難しいかじ取りを強いられている。
[2014年12月23日号掲載]