韓国リベラルは北朝鮮の手先か
北朝鮮へのビラ散布に反対しているのは「偏狭な左派」だけではないことも、はっきりしている。与党・セヌリ党議員で人権活動家、対北朝鮮民間ラジオ放送「開かれた北朝鮮放送」の創設者で代表を務める河(ハ・)泰(テ)慶(ギョン)も反対する1人だ。
河は10月に行った記者会見で、問題の本質を指摘した。自由北朝鮮運動連合を率いる朴のビラ散布手法は、後援者向けの「見せ物」にすぎない、と。
「河によれば、朴の団体が今年、取材陣に公開した上でビラを散布した回数は7回。そのうち6回は、北朝鮮に風船を飛ばすのに適していない西からの風のときに実施された」と、韓国の中央日報は報じた。
飛ばされたビラはソウル南部に落下したとされる。「朴の団体は風向きがふさわしくないことを承知していたはずだが、宣伝のために無視した」と、河は指摘。ビラ散布は「寄付金を募るための売名行為だ」と批判した。河は脱北者で活動家の李民(イ・ミン)馥(ボク)と共に、朴らの活動は「詐欺」だとも非難している。
重要なのは、河がビラ散布そのものの停止ではなく、より賢明で成功の可能性が高い戦略を求めていることだ。「市民団体には、ビラ散布の実施を事前に公表しないと誓約することを要求する。事前公表すれば南北関係が悪化するだけで、北朝鮮国民に情報は伝わらない」
スタントンは異を唱えるはずだが、新政治民主連合が提出した修正法案の支持者は、河と同じ方向を向いている。規制を求める双方の動機は違っても、目的は同じ。「不必要に北朝鮮を挑発しないこと」だ。そんなことをしても、誰の利益にもならないのだから。
ビラの散布も、さらに広げて言えば韓国の左派の在り方も、一般に考えられているほど単純な問題ではない。ビラ散布に反対する人々は、誰もが「全体主義者に奉仕する独裁主義者」ではない。誰もが主体思想支持者の「偏狭な左派」でもない。かつての韓国の左派は古い存在になったのだ。
政界の抗争に有権者が愛想を尽かし、民主主義の下で穏健化が要求される今、韓国のリベラル派は変化の圧力にさらされている。他国のリベラルと同じになれ、という圧力に。
From thediplomat.com
[2014年12月 9日号掲載]