最新記事

アフリカ

ブルキナファソについて知るべき理由

西アフリカの小国の政変が世界の注目を集めるのはなぜか

2014年11月6日(木)17時41分
トリスタン・マコネル

市民革命 一時は議会を占拠した怒れる市民たち Joe Penney-Reuters

 西アフリカの内陸国ブルキナファソでは10月31日、市民の激しい抗議デモのなか、27年前の軍事クーデター以来この国を支配してきたブレーズ・コンパオレ大統領が辞任に追い込まれた。だが、直後に軍が介入。速やかな民政移管を求める声が国内外で高まっている。

 ブルキナファソがこれほど世界の注目を集めるのは初めてのことだろう。西アフリカの小国で起きた市民の革命について知っておくべきこと、併せてこの国の政変が大きな波紋を広げている理由をまとめてみた。

■ブルキナファソの革命はなぜ重要なのか

 理由はいろいろある。これまでサハラ砂漠以南のアフリカ諸国には「アラブの春」の影響はまったく及んでいなかった。アフリカの指導者の多くは軍部の出身で、数十年に及ぶ長期支配を続けている。長老支配の政権と若年層が多数を占める国民の意識のギャップは広がる一方だ。そうした中で、市民のデモで政権が倒され、比較的平穏に政権交代が実現するのは画期的なこと――アフリカではほぼ前代未聞の快挙だ。

 さらに、この国の政変は国境の外にも影響を及ぼす。コンパオレは欧米諸国と強い結びつきを持つ(最近では、サハラ南縁地域のイスラム過激派対策として、アメリカは無人機、フランスは特殊部隊をこの国に送り込んだ)。近隣諸国に時には紛争を仕掛け、時には火消し役を務めてきたコンパオレは、旧宗主国のフランスにとって、使い勝手のいい仲介役でもあった。

■なぜコンパオレは失脚したのか

 何十万人もの市民が通りを埋め尽くした今回の抗議デモ。直接のきっかけは、コンパオレが政権の座に居座るために憲法改正の手続きに踏み切ったことだった。コンパオレは、元友人で左翼革命家のトーマス・サンカラが殺されたクーデターで実権を握って以来、27年間政権を率いてきた(コンパオレは自分はサンカラ殺害を命じていないと主張してきたが、訴追免除特権を失った今、法廷で裁かれる可能性がある)。コンパオレの支配下では汚職がはびこり、国民の窮乏生活はいっこうに改善されなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国、欧州EV関税支持国への投

ビジネス

中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺

ビジネス

再送-中国BYD、第3四半期は増収増益 売上高はテ

ビジネス

商船三井、通期の純利益予想を上方修正 営業益は小幅
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 2
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 5
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 6
    米供与戦車が「ロシア領内」で躍動...森に潜む敵に容…
  • 7
    娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェ…
  • 8
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 9
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 10
    衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとっ…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 6
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 7
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 8
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 9
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中