ヒンディー語強制策が多言語国家インドを分断
それでも反ヒンディー語運動の先頭に立つタミル民族主義政党のドラビダ進歩同盟(DMK)は納得せず、65年に暴動で死者70人、86年に抗議デモで20人が焼身自殺という事件を生んだ。今回はまだ暴力事件の発生には至っていないが、モディ政権のヒンドゥー至上主義は国内に分断を招くと危惧されている。
タミルナド州のジャヤラム首相はやんわりと注文した。「言語遺産を誇りとする州民にとって、心穏やかでいられない問題だ。ソーシャルメディアで英語が使われるよう、指示を修正していただきたい」
そもそも上からの命令で使用言語を決める政策などうまくいくはずがない。インドの官僚の多くは子供の頃から英語を話し、イギリスの大学に留学している。ヒンディー語も日常会話なら問題ないが、話し言葉と書き言葉とはかなり違うため、久しぶりに文章を書けと言われても困るそうだ。「10分で書ける手紙に30分もかかるので、自分でもいらいらする」と、中堅官僚のK・L・シンは言う。
「抵抗があって当然だ」とサチディーバも指摘する。「言語は選択するものだ。誰かが望んだからといって定着するものではない。ヒンディー語が広まるとしても、ゆっくりとだろう」
From GlobalPost.com特約
[2014年8月26日号掲載]