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東アジア

中韓の笑顔に隠された複雑な事情

2014年7月8日(火)14時54分
ロバート・E・ケリー(釜山大学准教授)

だから韓国は中国の影響力拡大に期待したいが、領土問題では妥協できない

 アジアにおけるアメリカ最大の同盟国である日韓両国の間にくさびを打ち込みたい。それが中国の本音だ。そのために中国が意図的に韓国民の反日感情をあおっているというのは公然の秘密だ。
 もしもアメリカがアジアに無関心で、日本とも韓国とも同盟関係になかったら、韓国は日中のどちらをパートナーに選ぶだろう?
 同じ自由主義・民主主義の国という点では日本と組むのが自然だろうが、韓国民の反日感情は根深いから、中国にすり寄る可能性も大いにある。
 しかし領土や領海の問題になると、韓国政府も譲れない。昨年、中国が一方的に東シナ海上空に防空識別圏を設定したときは韓国も猛反発し、自らの防空識別圏拡大で対抗した。
 韓国は黄海の領海内に侵入する中国「漁船」にも強硬な姿勢で臨んでいる。中国は北方限界線(黄海上の軍事境界線)を認めておらず、その近辺の漁場を北朝鮮から借りて操業しているが、こうした中国船を韓国は容赦なく拿捕している。
 それでも、全体としてみれば韓国のほうが立場は弱い。国力では比較にならないし、対北朝鮮では中国の協力が不可欠だ。しかし中国も、領土問題ではそう強引に動けない。下手をすれば米日韓の中国包囲網ができてしまうからだ。
 中国にとってのベストな選択は、韓国を自陣営に取り込むこと。だから習は、朴に精いっぱいの笑顔を見せるはずだ。

[2014年7月 8日号掲載]

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