中韓の笑顔に隠された複雑な事情
首脳会談では良好な関係を取り繕うだろうが「反日」だけでは手を組めない問題が山積する
もみ手? 笑顔の習主席(右)と朴大統領の本当の思いは Reuters
中国の国家主席が今月初めに訪韓する。中国のメディアも韓国のメディアも徹底して愛国的だから、どちらも自己満足と虚栄に満ちた報道に終始し、どちらも真の問題には触れないだろう。どちらの国の政府も反日感情を利用するのは得意だから、たぶん「日本の軍国主義化」の話も蒸し返される。そうして巧みに、中韓関係における真の問題点は隠蔽される。以下では、おそらく語られることのない真の問題を検証したい。
韓国は経済面で中国に、軍事面でアメリカに依存し過ぎている
中国が世界第2位の経済大国となった今、韓国の輸出産業は中国の8兆㌦市場なしに生きていけない。日本もそうだが、韓国も輸出で稼ぐことを成長戦略の要としてきた。だから新たな輸出先の開拓は、政治の重要な使命となっている。
中国の成長率はまだ高いから、今後も韓国の経済ナショナリズムを支える役を果たせるだろう。なんといっても中国は隣人だし、その市場は巨大だ。この20年で、中国は韓国にとって最大の輸出先となっている。
一方で韓国は軍事面でアメリカに頼り切っており、国防支出はGDPの2・5〜3%程度にすぎない。もちろん、単独で北朝鮮の侵攻をはね返すには不十分だ。アメリカは韓国に国防費の増額を求めているが、簡単に応じれば左派系の野党から猛反発を食うのは必至だ。
対北朝鮮でも韓国は中国への依存を深めている
東西冷戦の時代、北朝鮮をめぐる状況はかなり複雑だった。しかし今は、わりとシンプルだ。
現在のロシアは、北朝鮮の問題に距離を置きたがっている。北朝鮮に接近する姿勢を見せたとしても、それはアメリカを牽制する目的に限られるだろう。
日米韓の3カ国は、とりあえず対話の窓口は開けておくが、基本的には強硬な姿勢を維持することで一致している。こうなると、不敵な挑発で周辺諸国を翻弄する北朝鮮の作戦も、なかなか効かない。
北が日米韓の民主主義陣営の圧力をかわし、国連の制裁を避けたければ、とりあえず中国の機嫌を取るしかない。ロシアを当てにできない以上、今の北朝鮮にとって唯一の命綱は中国だ。
もしも中国が北朝鮮に対する経済的・外交的な支援を断つなら、北朝鮮は大きな打撃を受ける。韓国の大統領としても、中国の影響力行使に期待して、中国に寄り添うしかない。将来的な南北統一も、中国の協力なしには不可能だ。