外国人排斥に走るシンガポール国民の本音
政府批判の抗議集会も
リーは恐らく、外国人への反発の背景には、政府に対する不満があることに気付いているのだろう。既にシンガポールの人口の40%近くは外国人が占めている。こうした外国人労働者の増加が、一向に上がらない賃金水準から公共交通の混雑まで、さまざまな社会環境悪化の元凶になっていると、多くの国民が考えている。
そうしたなかで昨年初め、政府は外国人労働者の数をさらに増やす方針を表明。以来、業を煮やした市民が大規模な抗議集会を開くようになった。
シンガポール政府はそろそろ、外国人排斥ムードを高める一因となった社会政策を本気で見直すべきだ。そうしなければ、いずれもっと深刻な摩擦に直面する恐れがある。
一方、フィリピン側も自国の政策を真剣に見直す必要があるだろう。労働力の輸出政策はもともと70年代、国内の余剰労働力を生かすための一時的措置として始められた。しかし今では、最高水準の技能を持つ労働者の流出や国内産業の人手不足を招いている。
フィリピン政府が今後取り組むべきなのは、国民が外国で独立記念日を祝う手助けをすることではなく、彼らが国に帰りたくなるような環境を整えることだろう。
シンガポールもフィリピンも、自国民の生活環境を良くするため、迅速かつ積極的に行動を起こすこと。それが問題解決への一番の近道だ。
From thediplomat.com