「シシ新大統領」は救世主になれるか
夢でサダトが告げたこと
シシはこれまで非公式に、緊縮策を、軍の秘密財源と湾岸諸国からの援助を基にした大規模な「全国的プロジェクト」で補完する用意があることを示唆している。だが批判派は、縁故主義や汚職がそうしたプロジェクトの効果を限定的なものにしてしまう可能性があると主張する。
そもそも経済をめぐる問題やその解決に必要な政策で自分が失脚する可能性があるなら、なぜシシは大統領を目指すのだろうか。
可能性の1つは、エジプト軍の不信感だ。この3年を経て、軍は国家の安定と自分たちの利益を確保できる人物として、シシ以外に誰も信じられなくなっているのかもしれない。
もう1つの厄介な可能性は、シシが大統領職を神から託された運命だと確信していることだ。シシはリークされた別の発言で、過去の「夢」が将来を暗示していたことが証明されたと語っている。「ある夢の中でサダトが私にこう言った。『私は自分が大統領になることを以前から知っていた』と。私も言った。『私も自分が大統領になると知っています』と」
カイロのガマレヤ地区で育った若い頃、シシは勤勉さとまじめさで知られていた。「彼には常に目標があるようだった。鉄の意志があることを見てとれた」と、若き日のシシを覚えているある地元住民は言う。
ほかの人々も、シシが金属製のパイプと岩で自作したバーベルを使って、体を鍛えていたのを覚えている。その鉄の意志が、エジプト全土を覆う貧困と不安定さという大きな課題を前にして試されることになる。
今後待ち受けるであろう難題についての最も洞察に満ちたコメントは、現在身柄を拘束されているモルシ前大統領によるものかもしれない。
モルシは別のリーク発言の中で、シシについて自分の弁護士にこう話している。「シシは本当に、大統領などという困難な職務に就きたいと思っているのだろうか」
まさにそれが、最大の謎だ。
From GlobalPost.com特約
[2014年4月15日号掲載]