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旧ソ連圏モルドバが第2のクリミア半島に?
ロシア編入を果たしたクリミアに刺激され、モルドバでも分離・独立運動が加速
不穏な空気 沿ドニエストルとの国境を警備するウクライナ軍 Yevgeny Volokin-Reuters
ロシアのプーチン大統領は3月18日、ロシア系住民が多いウクライナ南部のクリミア半島を独立国家として認め、ロシアに編入すると宣言した。クリミア情勢を受けて旧ソ連圏各地でロシア系住民による分離・独立熱が強まるなか、ウクライナの隣国モルドバが「第2のクリミア」になる可能性が高まっている。
人口400万人のモルドバでは、国民の大半は文化的、人種的にルーマニア系のルーツをもつ。だがモルドバ東部の沿ドニエストル地域にはロシア国籍をもつ20万人のロシア系住民が暮らしており、1990年にモルドバからの独立を宣言。国際的には「沿ドニエストル・モルドバ共和国」の主権は認められていないものの、事実上の自治を確立している。
クリミアの分離・独立を受けて、沿ドニエストルでもロシア編入を求める動きが再び活発化。3月17日には、沿ドニエストル議会が同共和国のロシア連邦への編入を認めるようロシア下院に求める決議を採択した。
沿ドニエストルの分離・独立運動の歴史は長い。1992年には分離・独立を求める沿ドニエストルとモルドバが衝突し、300人の死者が出た。その後、停戦が成立して非武装地帯が設定され、今も2000人のロシア兵が駐留を続けている。
ロシア政府はこれまでも、同胞を守るためなら他国に軍事介入する権利があると明言してきた。沿ドニエストルについても、クリミアと同じように同胞を守るという名目があるわけだ。「クリミア問題で、ウクライナは20年前のモルドバと同じ問題に直面している」と、モルドバのイウリエ・レアンカ首相は語っている。
沿ドニエストルがロシアへの編入を要求したのは今回が初めてではない。2006年に実施された住民投票でも、モルドバからの独立とロシアへの編入が圧倒的多数で可決された。賛成票の割合はなんと、クリミアで16日に行われた住民投票における「ロシア編入賛成」の割合と同じ97%だった。