最新記事

中東

イランがイスラエルまで飛ぶ無人機を公開

アハマディネジャドの国連演説に合わせて物騒な武器を持ち出し敵を威嚇する真意は

2012年9月27日(木)16時22分
プリヤンカ・ボガーニ

あと1年弱 3選を禁じるイラン現行憲法下ではアハマディネジャドの任期は来年8月まで Vahidreza Alaii-Reuters

 イラン革命防衛隊は今月25日、長距離飛行が可能な無人機を公開した。イスラエルを含む中東全域が攻撃可能になる。イラン国営テレビによれば、「シャーヘド129」と名付けられたこの無人機は約2000キロを飛ぶことができ、爆弾やミサイルも搭載可能だ。

「この新たな無人機は、24時間飛行を続けて偵察・戦闘任務を完遂することができる」と、別のイラン国営メディア「プレスTV」のウェブサイトは報じている。「この国産機は1700〜2000キロ離れた目標も攻撃できる。搭載したカメラで生の映像を送ることもできる」

 イランは対艦ミサイル4発の発射実験も行った。アメリカ海軍のペルシャ湾における軍事演習に対抗して計画されているイラン海軍の軍事演習へ向けた準備だ。イランのファルス通信は「ミサイルは戦艦と同じ大きさの海上の目標に向けて同時に発射され、目標は50秒以内に沈没した」と伝えている。

 こうしたニュースはアハマディネジャド大統領がニューヨークの国連総会で演説するのと時を合わせて流された。アハマディネジャドは総会演説に先立つ24日、「イスラエルは中東地域にルーツなどなく、『消滅』させられる」と語った。ただ総会の演説ではこれまでの激しい口調は影を潜め、どちらかといえば懐柔的な口調が目立った。


テヘラン製無人機の性能には疑問符も

 イランの核問題は中東地域に緊張をもたらす「病根」だ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はアメリカに対し、イスラエルが戦争目的と考える核開発をイランに停止させるべく最後通牒を出すよう求めている。イスラエルのハーレツ紙によれば、イラン政府は核兵器の開発を否定し、核開発は平和目的だと主張している。

 イランの主張を裏付けることは不可能だ。だが、複数のアナリストはイランの武器の実際の能力に対して懐疑的だ、とも伝えている。


From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震、死者1700人・不明300人 イン

ビジネス

年内2回利下げが依然妥当、インフレ動向で自信は低下

ワールド

米国防長官「抑止を再構築」、中谷防衛相と会談 防衛

ビジネス

アラスカ州知事、アジア歴訪成果を政権に説明へ 天然
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中