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中南米麻薬大国コロンビアを悩ます化学物質
コカインを作るにはコカノキの葉だけでなく様々な化学物質が必要。規制できれば麻薬組織に打撃を与えられる
材料を抑えろ 麻薬犯罪組織の取り締まりに当局は必死だが…… Reuters
コカインの生産には原料のコカノキの葉だけではなく、硫酸やアセトンなどさまざまな化学物質が必要だ。
「コカイン生産で最もコストが掛かるのは、コカノキの葉でも労働力でも生産施設でもなく、化学物質だ」と、米麻薬取締局アンデス部門の責任者ジェイ・バーグマンは言う。
麻薬撲滅のためには、こうした化学物質の販売規制が重要だ。世界的なコカイン供給大国であるコロンビアで、バーグマンらは現地当局と協力して化学物質の規制に乗り出している。
コカイン生産に必要な化学物質は他の用途にも使われるため、規制は難しい。例えば過マンガン酸カリウムは、コカインの精製のほか、下水処理やバナナの鮮度保持にも利用される。
ガソリンや灯油など身の回りにある化学物質もコカインの生産に使える。コロンビア政府はコカイン生産拠点が多い南部で、ガソリンの販売量を制限するなど厳しい措置を取っている。
しかし麻薬組織は、賄賂を払って仕入れたり、ダミー会社を通して輸入したりと、あの手この手で化学物質規制の網の目をくぐり抜けている。
[2011年9月28日号掲載]