北極の「お宝」を狙うデンマークの野望
置き去りにされる環境への配慮
グランホルムは8カ国で構成される北極評議会の議長の座を手に入れたばかりのスウェーデンについて、「バスに乗り遅れないように動いている」と語る。北極評議会は、北極圏に領地をもつ国々(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、アメリカ)と先住民族の代表で構成されている。
自然保護派は各国の領有権争いを快く思っておらず、この地域の領有権や開発ではなく、自然の脆弱さに目を向けるべきだと語る。
「これは海底に眠る資源を手に入れるための領地の奪い合いだ」と、環境保護団体グリーンピース・ノルディックのマッズ・クリステンセン事務局長は言う。彼によれば、各国はこれまでにも領有権を主張しようと息巻いてきたが、手に入れた後に具体的にどうするかについては大っぴらにしてこなかった。「具体的にどんな開発をするかについては口をつぐんできた。われわれのように北極圏の環境を考える国は1つもない」
デンマークの外交文書は、グリーンランドで北極評議会の会合が行われた直後に流出した。この閣僚会合では、原油流出の際の対処法についても議論された。
会合でグリーンランド自治政府のクーピク・クライスト首相は、今後も北極圏周辺の経済的な発展を目指すべきだと語る一方で、その結果として環境を傷付けることがないようにと警告した。「われわれは環境を破壊するためにここに集まったのではない。開発と環境保護は両立できる目標だ」
(GlobalPost.com 特約)