最新記事

現地取材

限界に達した避難所ストレス

「東北人は我慢強い」の言葉に隠れた現実──避難所では人々のストレスが極限に達し、不信感に形を変えてその心をむしばんでいる

2011年5月19日(木)10時11分
小暮聡子(本誌記者)

 東日本大震災の発生から2カ月が過ぎた今、日本人の目に被災地の様子はどう映っているだろうか。

 避難所の物資不足は解消され、仮設住宅の建設が始まり、被災者同士が力を合わせて新しい生活に向けた一歩を踏み出す。彼らの我慢強さに被災していない人も元気をもらい、日本が1つになって復興に向けて歩み始める──。

 こういった物語の一つ一つは真実かもしれない。だが被災地を歩くと、これとは違った「物語」がいまだに拾われないままいくつも転がっている。将来が見えず、プライバシーもない避難所生活のストレス増加も報じられてはいるが、その伝え方はほとんどが表面的だ。被災者の本音を置き去りにしたまま、被災していない人たちが「寄り添う」ことなどできるのだろうか。

「ちょっとアンタ、どこの人?」今月初め、深刻な津波被害を受けた宮城県内のある地区で200人規模の避難所を取材していたときのこと。建物の中を歩いていると、ある高齢女性に呼び止められた。こちらが身分を名乗ると、「物取りがいるからね。知らない人だと怖いんだよ」と、警戒心をあらわにした理由を説明した。...本文続く

──ここから先は5月18日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年5月25日号をご覧ください。
<デジタル版のご購入はこちら
<iPad版、iPhone版のご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

今週のカバー特集「日本人と英語」は、明治以来の苦手意識を克服する新発想を追求した本記のほか、俄然やる気が出るラインアップ
■「簡易英語」徹底攻略ガイド
■対中ビジネスも中国語より英語の時代
■英語会議を乗り切る7つの基礎知識

その他にも、本誌でしか読めない記事が満載です
■ビンラディン後を担うタリバン最凶戦士
■初音ミクを起用したトヨタの狙い
■ナタリー・ポートマン、迷走の女優人生......

<最新号の目次はこちら

[2011年5月25日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

仏・トルコ首脳、シリア情勢巡り電話会談 包括的な政

ビジネス

ECB、政策は会合ごとに決定、不確実性に対応=レー

ビジネス

米一戸建て住宅着工件数、11月6.4%増 ハリケー

ワールド

ロシア、米との関係正常化へ協議の用意=外務次官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    「制御不能」な災、黒煙に覆われた空...ロシア石油施設、ウクライナ軍のドローン攻撃で深夜に爆発 映像が話題に
  • 3
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが物議...事後の悲しい姿に、「一種の自傷行為」の声
  • 4
    アサドは国民から強奪したカネ2億5000万ドルをロシア…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘ…
  • 9
    「患者の命より自分の利益...」揺れる韓国医療、研修…
  • 10
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中