冒涜罪テロと怒りのパキスタン
2011年2月15日(火)15時06分
遺志を継ぐ者はいるのか
今回の暗殺劇でアシフ・アリ・ザルダリ大統領とユサフ・ラザ・ギラニ首相はますます厳しい立場に追い込まれた。現政権は既に与党の連立離脱騒ぎで足元がふらふらだ。
さらに最大野党を率いるシャリフから、不信任案を議会に提出すると脅しをかけられている。現状では経済改革の実現も、武装勢力に対する掃討作戦の強化も難しそうだ。
5日、厳戒体制下の州都ラホールで行われたタシールの葬儀には数千人が参列した。このむごたらしい暗殺劇の後も、他の穏健派の政治家や宗教指導者はタシールの遺志を継ぎ、もっと寛容なパキスタン社会の実現に取り組む勇気があるのかどうか。イスラム過激派と戦うアメリカとパキスタンの危うい同盟の行方は、この点に懸かっているのかもしれない。
[2011年1月19日号掲載]
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