デモ隊の英雄になったグーグル幹部
「誰も広場を制御できていない」
抗議運動にとって、デモの分散化は力の源であると同時に、アキレス腱にもなり得る。
デモに参加する複数の若者グループが、「賢人会議」と連絡を取っているのは事実だ。「賢人会議」とは、長老会議を自称する人々で、デモ隊と政権との仲介役を買って出ているとされる。だが彼らと関わりのない若者たちは、しょせんこうした対話は自分たちとは無関係だと考えている。さらに、デモで命を落とした人々を裏切るような解決策が取られるかもしれない、と彼らの動きに不信感を抱いている。
しかしこうした若者グループが、デモに参加した大衆を代表しているとは言い難い。2月5日に行われたオマル・スレイマン副大統領との協議に参加した「1月25日の若者たち」を名乗る集団や、6日に記者会見を開いた「若者の怒りの革命連合」と称するグループが、交渉で自分たちの意見を代弁してくれた――私が話をした中で、そう感じた人など1人もいなかった。
タハリール広場では、さまざまなグループが「場所取り」を始めている。ムスリム同胞団は広場の南端に陣取ってメガホンで呼びかけ、社会主義勢力は数十メートル西側で音響装置を設置し、その他の小さな集団がそこら中に点在している。
「ここでは誰もが組織を作っている」と、政治アナリストのヒシャム・カセムは言う。「だが、交渉できる相手がいない。誰も広場を制御できない。政府も、そこに集う若者たちも」
Reprinted with permission from www.ForeignPolicy.com, 2/2011. © 2011 by The Washington Post Company.