最新記事

回顧

大はずれ!2010年の予測ワースト6

あの有名人の「迷予想」で振り返る大荒れの世界情勢

2010年12月20日(月)19時03分
ジョシュア・キーティング

こんなはずでは オバマの2010年は思い通りにならないことの連続だった? Jim Young-Reuters

 大物政治家の言葉がすべて正しいのなら、グアンタナモ収容所はとうに閉鎖され、アメリカの雇用は回復し、世界は核戦争で滅亡寸前のはず──。当たらなくてよかったものも含めて、まるで見当違いに終わった予言をリストアップした。2011年こそは、明るい予想が現実になりますように。


予測その1


「中国経済は減速し、今後9〜12カ月でバブルが崩壊する可能性が高い」

投資アナリストのマーク・フェーバー(5月3日、金融情報サービスのブルームバーグの取材に答えて)

 弱気な予測で知られるフェーバーがバブル崩壊を予言して以降、中国経済は確かに減速している。とはいえ、経済成長率はいまだに9・5%という驚異的な高さ。この数字は世界でもトップクラスで、8%成長という中国政府の経済目標も上回っている。運命の日が訪れるのは、まだ先のようだ。

 投資家のジェームズ・チャノスも弱気組の一人。中国の不動産バブルが2010年後半にはじけると予想し、「ドバイ危機の1000倍かそれ以上」の危機が来ると語っていた。実際の不動産相場は落ち着く兆しはあるとはいえ、今も上昇している。

 アナリストらは30年間ずっと、中国の奇跡の経済成長がついに終焉するという予測を繰り返してきたが、いまだに現実にならない。来年こそは当たるかも?!


予測その2


「(キューバの米海軍基地にある)グアンタナモ収容所を1年以内に閉鎖する。収容所閉鎖時に収容されている者は、本国へ送還、釈放、第3国に移送、あるいはアメリカ国内の別の収容所に収監する」

バラク・オバマ米大統領(09年1月22日に出した大統領令で)

 オバマはグアンタナモ閉鎖を売り文句にして大統領選を戦い、就任直後には公約の実現に自信満々だった。しかしオバマが約束した期限を迎えた今年1月22日、グアンタナモにはまだ196人が収容されていた。現在も174人が収容されているが、裁判で有罪が確定したのは3人だけだ。

 ブッシュ政権から引き継いだ法廷闘争や収容者の受け入れを渋る外国政府、9・11テロ首謀者のハリド・シェイク・モハメドなどのテロ容疑者を通常法廷で裁くことに対する共和党の反発まで、オバマの前には障害が山積みだ。12月には上院で、グアンタナモの閉鎖と一般法廷での裁判を取りやめる法案の審議がスタート。来年、共和党が下院の過半数を占める新会期が始まれば、オバマが約束を守るのはますます難しくなりそう。


予測その3


「今年の夏には、より多くの人々が働いているだろう」

ジョー・バイデン米副大統領(6月17日、ホワイトハウスのブリーフィングで)

 3〜5月に30万件以上の新規雇用が創出され、オバマ政権が「復活の夏」の到来を期待したのは無理もない。ところが、アメリカ経済は夏にかけて再び失速。8月までに民間雇用者数は3分の1に落ち込み、失業率は9・5%の高止まり。GDP成長率も2・4%増にとどまり、不況脱出には程遠い状況に陥った。

 しかも、「失意の夏」の後に来たのは「絶望の秋」。11月の失業率は9・8%に上昇し、有権者は中間選挙で民主党に厳しい審判を下した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中