「狂気」と見せかけた金正日の正気
中国の圧力に頼るしかないアメリカ
一連の出来事は金総書記にとって、2つのレベルにおける勝利を意味している。まずこの核施設の建設にはほぼ間違いなく外国の協力が必要だった。その協力が、例えば北朝鮮の核弾頭ミサイルの開発を支援したことが既に疑われているパキスタンから得られていたとしたら、アメリカにとっては大きな痛手となる。
次にアメリカと韓国は今回、北朝鮮への圧力をかけるうえで完全に中国に依存し、手も足も出ない状態に陥っている。韓国に約4万の米兵が駐留し、北朝鮮問題がオバマ外交の最重要課題であるにも関わらず、ここでも世界情勢の中心がアメリカから中国に移りつつある事実が影を落としている。
金総書記を変人と呼び、その奇行とビデオコレクションをジョークにしたって構わない。しかし金総書記が不条理で予測不能だと考えるのはやめるべきだ。彼の行動はその性格通りで、1つの明確なパターンに従っている。そして今回も、金総書記の行動は彼の意図する目的をしっかり果たすことになるだろう。
Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog 26/11/2010. ©2010 by The Washingtonpost.Post Company.