最新記事
米外交アフガン銀行危機の不快な茶番
取り付け騒ぎで支援が必要になった銀行は、カルザイ政権の腐敗の温床だった。アメリカはなぜこんな国を助けるのか
アフガニスタン最大の商業銀行カブール銀行は「大き過ぎて潰せない」銀行か?
9月1日、同行の会長夫妻がドバイの不動産に投資して多額の焦げ付きを出したというスキャンダルが明るみに出ると、不安に駆られた預金者が支店に詰め掛け、3日までで数億ドルの預金が引き出された。
この取り付けで、カブール銀行が債務超過に陥る恐れが一気に高まった。報道によれば同行のカリルラ・フロジCEO(最高経営責任者)は責任を取って会長とともに解雇される前、「預金の引き出しが続けば、我々は生き延びられない。人々が銀行を信用しなくなれば、金融システムに革命が起こるだろう」と語っていた。
アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領は政府が預金の全額保護を約束し、一方米政府はカブール銀行に対する金融支援は「一切しない」と言った。
だが、この発言の違いにはあまり意味がない。何しろアフガニスタン政府そのものが完全に海外からの支援で成り立っている。そしてその支援の多くはアメリカの納税者のものだ。アフガニスタンの金融システムが崩壊するのをアメリカは本当に手を拱いて見ていられるというのだろうか。
カルザイもう一つの裏切り
それに近代的な金融システムの構築は、アメリカがアフガニスタンの国家建設に乗り出した時点で自動的に政策課題の一つとして組み込まれている。
ミシガン大学のファン・コール教授(歴史学)はカンカンだ。無理もない。内乱鎮圧活動の専門家たちの常識では、アフガニスタンで国家建設を成すためには地元住民の支持をバックにした信頼できるパートナーが必要不可欠だという。
アメリカにそうしたパートナーがいないことは明らかだ。何しろカブール銀行は、海外からの支援を原資としながらカルザイの家族や政権幹部の資金源になっていたとされる。銀行危機は、我々のパートナーであるべきカルザイ政権がいかに腐敗しているかを示す新たな証拠だ。
だとすれば、そもそも我々はアフガニスタンでいったい何をしているのだろう?
Reprinted with permission from Stephen M Walt's blog,07/09/2010.©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.