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中東和平

直接交渉再開!の芝居に騙されるな

2010年8月26日(木)18時35分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

最後はイスラエルの未来も危うい

 一方、アメリカ国内では民主党も共和党も、自分たちが二国家共存案のためにどれほど力を尽くしてきたかを説き続けるだろう。この案が実現する可能性などどんどん薄くなってきているというのにだ。奇跡が起きない限り、私たちは二国家共存案が夢物語に過ぎないことをいつかは受け入れざるを得ない。

 ここでアメリカの政治家たちは究極の選択を迫られることになる。ユダヤ人もアラブ人も等しい政治的権利を持つ民主的なイスラエル(つまりアメリカのような、宗教や民族に基づく差別が禁じられた1つの大きな民主国家)を支持するのか、それともアメリカの価値観とは根本的に相容れない社会制度を有する「アパルトヘイト国家」になったイスラエルを支持するのか――。

 同じくらい重要なことだが、アパルトヘイト型のイスラエルは今まで以上に国際的な非難にさらされることになる。そうなれば同国のエフード・オルメルト前首相やアフード・バラク防衛相が指摘する通り、イスラエル本体の未来も危うくなるかもしれない。

 そんな事態になれば、長年にわたってアメリカの外交政策の足を引っ張ってきた「イスラエルの忠実な友」を自任する人々は、自分たちがアパルトヘイト型イスラエル誕生のために担った役割について、孫たちに言い訳する羽目に陥るだろう。

 オバマ政権に関しては、私の言いたいことはただ一つ。この予測があまりに暗すぎると思うなら、世界のために私が間違っていることを証明してもらいたい。そうしてくれれば私は喜んで自分の誤りを認めるつもりだ。


Reprinted with permission from "Stephen M Walt's blog", 21/08/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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