北でドイモイが始まる?
中国の支援が鍵になる
金正日自身は経済改革の余裕はない、と考えているかもしれない。外国から情報が入り、ライバルである韓国のシステムのほうがはるかにうまくいくことを国民が知れば、一族支配が弱体化しかねない。
アプトによれば、鍵を握るのは中国だ。中国は「朝鮮労働党と北朝鮮政府に対し、体制変革なき経済改革を実現するために必要なすべての支援を提供するだろう」と、彼は言う。「EU(欧州連合)の支援も期待できる」
経済改革に伴う「破壊的な」情報と思想の流入は、北朝鮮政府にとっては確かにジレンマだ。だが中国から必要な支援が得られれば、そのジレンマも克服できるかもしれない。
南北朝鮮と比肩する国家分裂劇は90年以前の東西ドイツだけ。だが資本主義の香港、台湾と引き裂かれた中国の分裂も、トウ小平とその後継者たちにとっては難題だった。「それでも彼らは実にうまく乗り切ることを学んだ」と、アプトは言う。
北朝鮮にどれだけの時間が残されているか定かではないが。
(GlobalPost.com特約)
[2010年7月14日号掲載]