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W杯北朝鮮の合宿も中止で泣くジンバブエ
隣国の南アフリカで開催されるW杯のおこぼれにあずかろうと準備してきたのに、外国人観光客や各国代表チームはどこ?
期待先行 W杯に出場する各国代表の合宿に備えて改装中のスタジアム(09年6月、ジンバブエの首都ハラレ) Philimon Bulawayo-Reuters
サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会を3週間後に控え、隣国ジンバブエはその経済波及効果にあやかろうと準備に大わらわだ。
ロバート・ムガベ大統領とジンバブエ政府関係者は、この一大イベントが、観光や各国代表チームの合宿需要などで近隣諸国にも景気浮揚効果をもたらしてくれるとを期待している。南アフリカをめがけて世界から集まるサッカーファンは、すぐ北のジンバブエに足を延ばすだけで野生動物の王国や世界3大瀑布の1つであるビクトリアの滝を堪能できる。スタジアムの改装を行うなど、現地で合宿を行う各国代表の誘致にも力を入れた。
だが、今のところ期待したような観光客や選手は見当たらない。ジンバブエの観光大臣ウォルター・ムゼンビが4月、誘致に成功したと勝ち誇ったように発表した北朝鮮代表にも、合宿をキャンセルされてしまった。
もともと、ジンバブエ人が北朝鮮を歓迎するはずはなかった。80年代に、ジンバブエ軍第5旅団が1〜2万人もの民間人を虐殺する事件があった。この旅団に残虐な暴動鎮圧訓練を施したのが北朝鮮の軍事顧問たち。訓練を受けた直後の第5旅団を使って反体制派を弾圧したのは、今のムガベ大統領だ。
増えるのは難民と犯罪者だけ?
最大野党の民主変革運動を率いるモーガン・ツァンギライ首相とその支持者は、北朝鮮代表の誘致に猛反発した。そしてムゼンビは5月19日、北朝鮮代表の訪問はなくなったと発表したが、反対運動が原因だったかどうかは定かでない。
観光客をあてこんで改装にお金をかけたホテルも、がら空きのままだ。第1に、南アフリカまで観戦にくる外国人の数自体が、予想を下回っている。第2に、南アフリカに来ても試合を見たらそのまま帰る予定の外国人が大半を占める。第3に、ジンバブエは対外イメージが悪過ぎる。野党支持者に対する脅迫や暴行が横行した08年の大統領選もまだ記憶に新しい。
皮肉なことに、増えそうなのは観光客ではなくサッカー難民。W杯による人混みや交通渋滞を嫌う南アフリカ人が、ジンバブエに逃れてきそうだ。南アフリカは犯罪の多さでも知られており、ジンバブエ警察は詐欺師や泥棒、車のハイジャックなどの増加を警戒している。
実際にジンバブエまで足を延ばした外国人は、美しい景色と地元の歓迎に驚かされることになるだろう。だが大きな経済効果を期待していたジンバブエ当局にとっては、W杯は大きな失望に終わりそうだ。
(GlobalPost.com特約)