「貧しい農村」という中国の時限爆弾
2010年5月10日(月)13時21分
国家権力の土台が揺らぐ
しかし、都市と農村の格差解消への扉は閉ざされようとしているのかもしれない。胡と温のコンビは2013年に退き、新指導部にバトンタッチすることが決まっている。胡に代わり国家主席に就くことが有力視されている習近平(シー・チンピン)国家副主席は、社会正義を重視する胡と温とは対照的に、輸出産業を擁する都市部の利害を重んじる一派と近い。
問題はそれだけではない。都市と農村の所得格差が広がり続け、政府の景気刺激策がインフレに火を付ける可能性が現実味を帯びている。インフレ、所得配分の不均衡、役人の汚職が合わされば、「社会の安定、ひいては国家権力の安定に影響が及び」かねないと、温は警鐘を鳴らしている。
温はこの1月にも偏橋村を訪れて、補助金をさらに増額すると約束。首相を退いた後で、状況がどの程度改善したか確認するために再び村を訪問することも請け合った。そのときまで、中国政府は約束を果たすために奮闘しなければならない。
[2010年4月14日号掲載]
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