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総選挙イギリスで第3党が台風の目に
昨年、イギリスでは初となる選挙戦に向けたテレビ討論(4月15日に第1回が行われる)にブラウン首相が参加すると表明したときには、結果は明白だと思われた。保守党のキャメロン党首は雄弁で若々しく、当時の世論調査でも断トツの人気。見た目のパッとしない首相を圧倒するはずだった。
だが今回の討論で最大の恩恵を受けるのは、下院で全体の10%以下の63議席しか持たない自由民主党のニック・クレッグ党首になりそうだ。テレビ映りのいい彼がゴールデンタイムのテレビに登場し、2大政党と対等の立場で渡り合うのだから、彼と党にとってはまたとないチャンスになるだろう。
討論の出来にかかわらず、クレッグは出席するだけで存在感を示せるはずだ。保守党の支持率は過去1年で低下し、現在は労働党をわずかに4ポイント上回る37%。これでは保守党が政権交代に必要な過半数を得るのは難しい。
となれば、クレッグにキングメーカーの座が転がり込むことになる。今のところクレッグは、保守党と労働党のどちらと組むか言及するのを避けており、国民から「強い支持」を得た党を後押しするとだけ語っている。
いずれにしろ自由民主党が、政権に大きな影響力を持つ第3の党になる公算は高そうだ。
[2010年4月21日号掲載]