再び火を噴く「カフカス内戦」
チェルカソフの言う「暗殺者集団、拷問、拉致、違法な拘置施設」はカフカス地方特有の問題に見える。だがそれらは、犯罪と暴力と無責任が深刻化した体制の最も極端な例にすぎない。
カフカス地方の動乱は過去1世紀半に及ぶ。しかし今日の危機が浮き彫りにしているのは、派閥抗争が続く社会の昔ながらのトラブルだけではない。ロシア政府はこの10年間、国全体としては富と安定を生み出しながらカフカスでは平和を実現できなかった。これはロシアの統治危機を象徴している。
イングーシ、ダゲスタン、チェチェンで悪化する暴力の連鎖は、プーチン=メドベージェフ時代の新たな封建制が地方で深刻な圧力にさらされたとき、どれほどもろく破壊的になり得るかを如実に示している。
[2009年10月21日号掲載]