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イギリス借金苦プレミアリーグ、経営モデルに疑問
フォーブス誌によるサッカーチームの長者番付で09年もトップに輝いた英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(マンU)。資産価値18億ドルのその強豪が負債にあえいでいる。
マンUは1月、社債を発行して約8億ドルを調達。それでも全債務の返済には3億4000万ドルも足りない。社債の発行理由はアメリカ人ビジネスマン、マルコム・グレーザーが05年に同チームを買収する際に作った借金を返済するため。ところが債券の価格は、発行からわずか2週間で10%近く下落した。
昨年は4億4400万ドルという記録的な収益を上げたマンUだが市場、とりわけヨーロッパ市場は借金に警戒し始めたようだ。マンUだけでなくリバプールなどライバルチームの負債も急激に膨らんでおり、プレミアリーグの経営モデルに疑問が投げ掛けられている。
プレミアリーグでは毎年下位3チームが下部リーグに降格するが、下部リーグはテレビ放送による収益が激減する。そのためチームは生き残りを懸けて年間5000万ドル以上もかかる優れた選手の奪い合いをしなければならない。
アメリカと違ってイギリスには団体交渉をして報酬を抑えるシステムがない。プレミアリーグの選手報酬の総計は08年から20%以上も増えており、チームは収益を伸ばすために選手に巨額のカネを注ぐ、という悪循環に陥っている。
倹約すれば儲けは出ない。誰がカネを最も出せるかというゲームに突入したようだが、いい結果は生まれないかもしれない。
[2010年2月24日号掲載]