アフガン脱出のカギは国軍の確立だ
ただし、実際には簡単ではない。単純に兵士を登録すればすむ話ではなく、彼らに訓練を施さなければならない。
そもそも、30年近く戦争状態が続いているアフガニスタンでは、地域や部族間の紛争で人を殺害したしがらみのない新兵はほとんどいない。また、新兵選考の際にタリバンとの二重スパイを見分けるのはまず不可能だ。
「悪い奴らを買収しているようなものだ」と、アメリカとNATOへの外部アドバイザーは内密に語った。「だが、法的なシステムに加わるインセンティブを人々に与えるという点で、(この「買収」は)正しい行為だ」
カルザイ政権は守るに値するのか
さらに大きな不安要因は、国防総省が9月に、国軍崩壊を招きかねないリスクを並べた長大なリストを発表したことだ。新兵を集める請負業者への監督不行き届き、新設軍への後方支援能力の不足、軍と警察、司法当局の連携不足、そして最悪なのは「アフガニスタン国軍のあらゆる階層における説明責任の欠如」だ。
もっとも最大の問題は、アフガニスタンに漂う政治的な疑問だ。カルザイ政権は本当に守るに値するのか。
昨年の大統領選における不正行為のせいで国民がカルザイの正統性を認めなくなれば、戦略全般について成功は見込めない。アフガン政府に信頼できる指導力がなければ、国軍の安定に伴って実現するかもしれない経済復興や開発の計画さえ幻想に思えてくる。
必要なのは、全速力で新兵に軍服を支給すること。ただし、国旗をまとった軍服に本当に価値を見出せるかどうかは、カルザイにかかっている。