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ヨーロッパ

ジミな大統領がEUを強くする

2009年11月26日(木)12時36分
アニータ・カーパラニ

このひと誰? EU初代大統領に選ばれたヴァンロンプイ Yves Herman-Reuters

 EUはドラマチックな展開が嫌いなようだ。11月19日に発表されたEU大統領(欧州理事会常任議長)とEU外相(外務・安全保障上級代表)の人選からも、その傾向がうかがえる。

 初代EU大統領に選ばれたのはベルギーのヘルマン・ヴァンロンプイ首相。EU外相にはイギリスのキャサリン・アシュトン欧州委員が選ばれた。2人とも世界的な知名度は非常に低い。既にEU内部でも、ブレア前英首相など大物政治家を選ぶべきだったという批判は上がっている。

 だが長期的に見れば、今回の決定は最も賢い選択なのかもしれない。「勢いがなくなったように見えても、水面下ではEUの統一が進むだろう」と、米外交評議会のチャールズ・カプチャンは語る。

 実際、ヴァンロンプイとアシュトンは加盟国の協調を促す可能性が高い。特に期待されるのはイラクやアフガニスタンに対する政策だ。ブレアのようなアクの強い人物では、国際舞台でEUの存在感を高めることに役立っても、EU内に亀裂を生む恐れがあった。英首相時代のブレアが取った親米路線やイラク戦争支持はEUでも大きな議論を巻き起こした。

 無難過ぎる人選に見えるが、今回の選択は結果的にヨーロッパの強化につながるかもしれない。

[2009年12月 2日号掲載]

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