世界で一番ハチャメチャな国会はどこ?
■ウクライナ
●背景 04年のオレンジ革命以来、ウクライナ議会は荒れ模様になり、与党連合のオレンジ同盟が親ロシア勢力との喧嘩騒ぎを繰り広げている。
●注目の事件 オレンジ革命以前も議会の混乱はあったが、近年は特に状況が悪化している。06年の選挙で親ロシア政党が勝つと、オレンジ革命派の議員はサイレンを鳴らしたり、卵を投げつけたりしてビクトル・ヤヌコビッチの首相選出を妨害した。殴り合いも起き、政府寄りの議員が議場で投げ飛ばされる一件があった。
最近では08年のNATO(北大西洋条約機構)加盟をめぐる審議で、議員十数人が小競り合いになった。その数カ月前には、ユーリー・ルツェンコ内相が会談中のキエフ市長の顔を叩き、股間を蹴ったばかりだった。ルツェンコは今年、フランクフルト空港で酔っ払って警備員と喧嘩し、停職処分を受けている。
■イギリス
●背景 乱闘騒ぎはほとんどないイギリス国会だが、質疑応答では首相や与党に議員からヤジが飛ぶ。
●注目の事件 トニー・ブレア前首相のように野党との対決するのを楽しめる首相もいる。一方、その顔が「スターリンからミスター・ビーン」に変わる、とからかわれているゴードン・ブラウン首相のように質疑応答が嫌いな首相もいる。
議員からのヤジやブーイングは日常茶飯事で、かなり巧妙に練られた非難も飛び出す。そうした発言を撤回させるのはかなり面倒だが、ある議員が女性議員を「二流のミス・マープル(アガサ・クリスティの推理小説に登場する老婦人)」と呼んで、けん責されたことがある。
オバマへの「嘘つき」発言をめぐってしばしばイギリス議会が引き合いに出されているが、イギリスでも誰かを嘘つき呼ばわりすれば問題視される。首相の質疑応答でウィルソンがそう発言したら、撤回を求められるだろう。しかし、労働党のトニー・バンクス議員がかつてやったように、マーガレット・サッチャーを「セックスに飢えた大ヘビ」に例えるのは問題ない。
■オーストラリア
●背景 オーストラリア議会は、イギリス議会の質疑応答や辛辣な審議スタイルを継承するが、エチケットには少々欠けている。
●注目の事件 オーストラリア政治では、多彩な罵り言葉はある種の芸術と見なされる。その点、ポール・キーティング元首相は文句なしの名人で、反対議員を「クズ」「やじ馬」「口汚い犬」「賢いこじき」「ノータリン」などとこき下ろした。
現首相のケビン・ラッドは、今年2月に洪水の被災地を訪れるために質疑応答をすっぽかそうとした。すると野党陣営は、ダンボールで作ったラッド人形を議会に持ち込み、毒舌を浴びせた。
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