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中東和平1国家主義「イスラチナ」に注目
過激派? イスラエルを訪問して「2国家共存」を否定したハッカビー(8月17日) Ronen Zvulun-Reuters
先週、イスラエルを訪問した共和党の前アーカンソー州知事マイク・ハッカビーは中東和平についてこう語った。「ユダヤ人の母国のど真ん中」にパレスチナ国家を成立させるなど「非現実的だ」。この発言は、イスラエルとパレスチナの2国家共存を目指す動きに逆行するとして物議を醸した。
2国家分離と境界線の堅持は、長年主張されてきたことだ。イスラエルの強硬派、ネタニヤフ首相でさえ、ヨルダン川西岸への新たな入植には否定的だとされる。
だが2国家分離が進まないなか、1国家を主張する「過激派」が再び注目されつつあることも確かだ。リビアの最高指導者カダフィ大佐は今年1月、非宗教的な1つの民主国家の設立を訴えた。その名も「イスラチナ」構想だ。
90年代にパレスチナ側の交渉顧問だったアフメド・サミフ・カリディは、03年に「エルサレムはアラブとユダヤが共有する国家の首都になれる」と書いている。2国家共存派のイスラエルのアロン・ピンカス元ニューヨーク総領事でさえ、1国家が現実味を帯びつつあると警告している。
[2009年9月 2日号掲載]