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ヨーロッパ欧州議会選で過激政党が躍進?
選挙に行こう ブリュッセルの街角には投票を呼び掛ける看板が(5月9日) Thierry Roge-Reuters
ヨーロッパの人々は誰がヨーロッパを動かそうと、どうでもいいらしい。6月4〜7日にはEUの欧州議会の議員選挙が実施されるが、市民の関心は低い。一時は世論調査で投票すると答えた市民がわずか34%と、史上最低だった04年の45%を下回った。
投票率の低さは過激な弱小政党に有利に働くかもしれない。イギリスでは、徹底した反ヨーロッパ色を打ち出す政党が欧州議会入りする可能性がある。極右のイギリス国民党は、ポーランドなどEU新規加盟国からの移民が経済低迷の原因だとする広告キャンペーンを展開。一方、選挙情報をネットで検索するイギリス市民の30%近くが、EUからの完全脱退を訴えるイギリス独立党のサイトにアクセスしているという。
今のところ、こうした過激政党が今回の選挙で増やす議席数は僅かだと予測されている(新定数736議席のうち3議席増の44議席になると見込まれている)。だが、投票率の低さが追い風になる可能性はあると、専門家はみている。
一方、最近のヨーロッパ各国での国政選挙では逆に投票率が高く、主流の保守政党が議席を増やしている。ヨーロッパ市民は欧州議会選では危険を冒しても、国内の急務については安全第一らしい。まさに政治は地元優先というわけだ。
[2009年6月10日号掲載]