最新記事

運動

スポーツブラが「予期せぬ悪影響」を与える可能性【最新研究】

Sports Bras Have Unexpected Negative Effect on Workouts

2024年08月04日(日)09時50分
パンドラ・デワン
スポーツブラを着用する女性たち

wavebreakmedia-shutterstock

<間違ったサイズのスポーツブラは呼吸と呼吸機能を損なう...>

間違ったサイズのスポーツブラを着用すると、運動パフォーマンスが低下する可能性があり、実に80%近くの女性が間違った着用をしているという研究結果がある。

スポーツブラは胸の過度な動きを抑え、不快感や乳房組織の過伸展(伸び・反り返り)を防ぐ機能がある。しかし、このサポート力によって、肺の完全な膨らみを犠牲にすることがあるのだ。


 

間違ったサイズのスポーツブラが呼吸と呼吸機能にどのように影響するのか、そして正しいサイズを選ぶ方法について、元オリンピック選手であり、メイヨークリニックの研究員であるシャラヤ・キップは本誌に次のように述べた。

「自分でブラを選ぶと、ブラのアンダー部分の圧力によって呼吸機能が損なわれる可能性があります」

キップとブリティッシュ・コロンビア大学の研究チームは、9人のベテラン女性ランナーを募集。きつさの異なるスポーツブラを着用させて、その間の呼吸能力と効率性を測定した。

「スポーツブラのアンダー部分を緩めることで、女性の呼吸が変わりました。深い呼吸と呼吸回数が少なくなることによって、ランニングの効率が向上したのです」

研究対象の女性たちがアンダー部分がもっともきついスポーツブラを着用した際、酸素消費量が1~2%増加。アンダー部分を緩めることで酸素効率が2%向上すると、長距離を走る際に大きな影響を与える可能性があるという。

「3時間のマラソンランナーにとって、酸素消費量が2%改善することは、3分の改善に相当します。つまりスポーツブラが全身に影響を与え、パフォーマンスに影響を与える可能性を明確に示しています」

今回の研究結果は、ベテランランナーという限られたグループによるものであるため、女性全般の結果とは言えない。そのため、まだ多くの研究が必要であるという。

「それでも衣類と呼吸機能にどのような相互作用があるかにおいて、バストサイズは重要な要因です」とキップは述べ、正しいサイズのスポーツブラを見つけることの重要性をこの研究から強調する。

「ほとんどの女性は、休息時の感覚に基づいてスポーツブラを選んでいます。しかし、呼吸機能が低下するのは激しい運動をしているときだけです。

したがって、お店の試着室でどう感じるかではなく、運動直後の感覚に基づいて、スポーツブラを選ぶことが理にかなっています。ですから、ブラを試着する際には、大きく息を吸うように勧めています。

さらに、スポーツブラのサイズを上げてみることで、乳房の動きが快適かどうかを確認したほうがいいでしょう。すべての人に効果があるわけではありませんが、もしブラがきつすぎる場合はサイズを上げることで解決しするかもしれません。アンダー部分を緩くすることでも運動中にでも十分なサポート感を得られることもあります」

本研究はスポーツウェアブランドのルルレモンが支援し、「Medicine & Science in Sports & Exercise (MSSE)」誌に掲載されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 3

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:引きこもるアメリカ

特集:引きこもるアメリカ

2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?