「人生の50年を好きなことに費やした」名優キャシー・ベイツが励んだ「台所仕事」とは?
Enjoying Her Third Act
「ドレスアップしてこそ演じるキャラが立つ」と語るベイツ JEFF KRAVITZーFILMMAGIC/GETTY IMAGES
<監督から信頼される名優が70年代の人気小説を映画化した最新作『神さま、わたしマーガレットです』で祖母役を熱演。大先輩からの言葉を頭の片隅に、模索してきたキャリアについて>
年は無駄に重ねるものではない。少年少女向け小説の名手ジュディ・ブルームの大ヒット作『 >神さま、わたしマーガレットです』(1970年)が、なぜか今、映画化された(全米公開中)。
難しい時代に、苦しみもだえながらも成長していく主人公の少女マーガレット。彼女の前に立ちはだかる祖母シルビアを熱演したのは、1990年の『ミザリー』でアカデミー賞主演女優賞に輝いた74歳のキャシー・ベイツだ。
「演技の心はドレスアップ。思いっきりドレスアップしてこそ、演じるキャラが立ってくる」と、ベイツは言う。
シルビアのキャラを探しあぐねていたとき、ベイツは大先輩ジェシカ・タンディの言葉を思い出したそうだ。
「これは台所仕事なの。スープの材料を全て集めたら、みんな鍋に入れて」、役柄が浮かび上がるのを待てばいいのだと。言われたとおり、ベイツはひたすら「台所仕事」に励んできた。
2011年に始まったテレビドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』ではエミー賞を受賞し、半世紀にわたるキャリアの「第3幕」の始まりを告げた。今は1980年代の人気ドラマ「マトロック」の男女逆転リメーク版に主演している。
「人生の過去50年を好きなことに費やすことができて、本当に幸せ」と言うベイツに、ライターのH・アラン・スコットが聞いた。
──原作小説はいつ知った?
本が出た頃の私は、ワシントンでベトナム戦争反対のデモに参加していた。だから読んでない。でも、読んでいたらよかったと思う。少年少女たちへの素敵なメッセージね。あの時代にこんな小説を書くなんてすごい。