12歳の少女までが性奴隷──中国における北朝鮮女性の人身売買が「成長産業」に 最新レポートより
North Korean Women Sold As Sex Slaves In China, Forced Into Marriage: Study
金日成の妻の名を冠した「金正淑・平壌繊維工場」で働く女性たち(2012年) Bobby Yip-REUTERS
<中朝国境における人身売買は日本円にして約140億円規模の産業となっている。コロナ禍で悪化した、北朝鮮女性たちの苦境について>
北朝鮮の女性と少女たちが虐待、性暴力、強制結婚など奴隷的な扱いを中国で受けている。
なかには12歳の少女までもが人身売買業ブローカーによって取引の対象とされ、そのようなケースが増加していることを示す最新報告書が、オランダを拠点とする国際人権法律事務所「グローバル・ライツ・コンプライアンス」によって発表された。
脱北して「レッドゾーン」と呼ばれる中朝国境沿いの地域に到着した後、強制的に結婚させられるなどの人身取引ビジネスは中国で近年急成長しており、その規模は年間1億500万ドル(約140億円)にも達するという。
新型コロナによるロックダウンで国境が閉鎖されたことも、北朝鮮の女性と少女たちの窮状を悪化させた背景にある。
韓国の脱北者たちの情報や研究者による分析の結果、中国で危険にさらされている北朝鮮難民の数は、国連が発表している10万人という人数の2倍以上にもなっているという。
「グローバル・ライツ・コンプライアンス」の主任法律アドバイザーのソフィア・エバンジェロウは次のように述べる。
「現在、北朝鮮女性と少女たちは性的かつ精神的に虐待されるか、奴隷労働、強制労働に就くために人身売買されるという厳しい現実にさらされています。彼女たちは中国当局に逮捕されて本国に強制送還されれば拷問を受けたり、収容所で処刑されるなど、より厳しい処罰を受けます。それを恐れて、逃げることができないのです」
中国東北部の延辺で中国人男性に売られたある北朝鮮人女性は、同居して1年以内に妊娠しなかったため殴られたことを「北朝鮮人権データベースセンター」の調査員に語っている。頭をたくさん蹴られたため、うつ症状に苦しんでいることも訴えている。
また、逮捕された別の女性は北朝鮮に強制送還された後、強制収容所で看守にレイプされたとも語っている。
報告書によると、北朝鮮の強制収容所に送り返された、リ・クムスンという若い女性は強制堕胎を恐れて妊娠中であることを隠していた。しかし、栄養失調と重労働で体調を崩し、石拾いを命じられた川で溺死している。