新型コロナワクチン接種で生理不順に? 月経周期追跡アプリが活躍し解明=研究
新型コロナウイルスのワクチンをめぐってもさまざまな誤った情報が流布した......Geber86-iStock
<新型コロナウイルスのワクチン接種後の月経の変化について調査・研究が行われた......>
さまざまなワクチンをめぐっては、しばしば誤った情報が流布するが、驚くほど多くの場合、生殖機能に関するものだ。
新型コロナウイルスのワクチンも例外ではない。ワクチン接種が開始される前から、ワクチンが免疫系を刺激して胎盤を攻撃するという誤った情報が広まっていた。
新型コロナウイルスワクチンの接種が生殖機能に害を及ぼさないという多くのデータがあるにもかかわらず。こういった根拠のない噂が若い女性のワクチン接種をためらわせる大きな原因になった。
2021年初頭に新型コロナウイルスのワクチン接種後の月経の変化が報告され始めたとき、月経周期を研究するインペリアル・カレッジ・ロンドンの生殖免疫学者のヴィキ・マーレ博士は調査が必要だと考えた。
ワクチン接種と月経の変化は1913年の文献にも
月経の変化に関する主張は、もっともなものだった。ワクチン接種が月経の変化と関連するという報告は、1913年までさかのぼった医学文献に見られるし、1549年には天然痘のワクチン接種により、膣からの予期せぬ出血が確認されたという報告さえある。
科学者たちは、免疫刺激によって月経のタイミングや流量が変化することを説明する潜在的なメカニズムを提示しているが、そもそも月経周期は自然に変化するものだ。では、「どうせ起こるはずの変化をワクチン接種のせいにしていない」とは言い切れないのではないだろうか?
マーレ博士は、このような相反する考え方の間にある緊張感を感じた。因果関係がないにもかかわらず原因と結果を結びつけてしまうという人々の傾向を考慮し、正式なアプローチが必要であると思いを強くした。
調べることこそ重要
臨床試験では、未治療の対照群を含むため、月経変化などの一般的な事象のバックグラウンドレベルを測定するのに必要になる。
新型コロナワクチンの臨床試験では、ワクチン群での事象の発生率を対照群と比較することができ、その差から、ワクチン接種によってこれらの事象の発生頻度を明らかにできるからだ。