最新記事

BOOKS

全米女性の心を潤す、大ベストセラー「恋愛小説家」コリーン・フーバーって誰?

The Unlikely Author

2022年09月02日(金)09時40分
ローラ・ミラー(コラムニスト)

意外にもフーバーの作品は、多くのベストセラー作家のそれよりもバラエティーに富んでいる。ヤングアダルト小説もあれば、恋愛コメディー小説やゴシックサスペンス小説もある。

ドメスティックバイオレンス(DV)や児童性的虐待といった難しい問題を扱った小説もあれば、70%はセックスシーンではないかと思わせるセクシー小説もある。

ファンは、こうした作品全てを熱烈に支持するわけではないが、フーバーの書いたものなら、自分にとって未知の領域でも読んでみようと思うことが多いようだ。どの作品にもロマンスの要素が含まれていることも、物語の世界に入りやすくしているようだ(注・この先ネタバレあり)。

特に2015年の作品『ノーベンバー9』(未邦訳)の女性主人公は、ファンが共感しやすそうだ。彼女は気になっている男性に、「本に書かれるような」キスとはどんなものか説明し、カップルが互いに一目ぼれするような恋物語は好きではないと語る。

トラウマポルノと批判も

一方、『世界の終わり、愛のはじまり』では、主人公リリーをめぐる三角関係が描かれる。このうちの1人であるライルは、一見したところ完璧な男性だ。ハンサムな医者でセックスは最高、それでいて普段は物腰が柔らかい。

ところが2人が真剣な付き合いを始めたとき、本当の問題が明らかになる。ライルは激高すると暴力を振るう癖があったのだ。リリーは、かつて母親が父親から暴力を受けるのを見ていたこともあり、苦渋の決断を下す。

「私たちの娘が心から愛する男性に傷つけられたら、あなたは娘に何て言う?」と、リリーはライルに問い掛ける。それに対するライルの答えを含め、読者が号泣すること間違いなしのシーンだ。

主要登場人物がトラウマを抱えている、というのはフーバーがよく使う手だ。子供のときに虐待を受けたとか、大やけどの痕があるとか、子供や元恋人が事故死したとか、親に愛されない子供時代を送ったなど理由はさまざまだ。

さらにフーバーの小説には、相手も心の傷を抱えていることを知って、一段と引かれ合うカップルがよく登場する(これには「トラウマポルノ」だと批判する声もある)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日続伸、ハイテク株が指数けん引 取引一

ビジネス

午後3時のドルは155円後半で堅調、米大統領の発言

ワールド

ブラジルCOP30議長、米のパリ協定再離脱の影響懸

ワールド

韓国、務安空港のコンクリート構造物撤去へ 旅客機事
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 2

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 3

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    なぜメーガン妃の靴は「ぶかぶか」なのか?...理由は…

  • 1

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 2

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 3

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプの頭の中

特集:トランプの頭の中

2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る