最新記事

英王室

「動物好きで、一緒にいて楽しい人」──肖像画家が語るエリザベス女王の素顔

I Painted the Queen

2022年07月04日(月)16時05分
ニッキー・フィリップス(画家)
エリザベス女王

遅刻した女王の謝罪時には既に舞い上がっていたと語るフィリップス ©JULIAN CALDER/FINE ART COMMISSIONS

<ユーモアのセンスで自分の役割や王室の特異さを受け入れ、それをも楽しむ人。肖像画制作で女王と共に過ごした画家が感じた、その人柄と特別なまなざし>

イギリスのエリザベス女王の到着は少し遅れた。女王が気まずい思いなのはすぐに分かった。

2011年の秋、肖像画制作の最初のシッティング(座ってポーズをとること)で女王が最初に発した言葉は、遅れたことへの謝罪だった。

もちろん、私に謝ったわけじゃない。そんなことはあり得ない。女王は遅刻の理由も口にしたが、私は覚えていない。女王の前で、もう舞い上がっていたから。

女王の肖像画は3回手掛け、シッティングのときの記憶はいつも曖昧だが、女王について何よりもよく覚えているのはその真っすぐな視線だ。

私が描いた女王の肖像画は、特に個性を強調するような作品ではない。でも、女王の灰色がかった青い瞳に宿る、あの忘れ難いまなざしは、絵の中に捉えたいと思った。

到着が遅れようとも、女王の存在感は圧倒的だった。輝かしい礼服に身を包んだ女王が現れたとき、動悸が激しくなり、手が汗だらけになったことを覚えている。ありがたいことに、すぐにアドレナリンが出て、絵筆を手にすると目の前の仕事に専念することができた。

一緒にいた短い時間で、女王の人柄を少しでも理解できたかどうか、自信はない。ただ言えるのは、女王はその場にいる私たちを楽しませ、自分自身も楽しもうとしていたことだ。本当に、女王は一緒にいて楽しい人だった。

女王は動物が好きで、馬や犬の話をすると表情がとても明るくなった。最初の肖像画に、女王の生活の一部になっている4匹の犬を入れたのは、それが理由でもあった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アップル、見通しさえず株下落 第4四半期は予想上回

ワールド

米裁判所、マスク氏訴訟の手続き保留を決定 大統領選

ワールド

北朝鮮、31日発射は最新ICBM「火星19」 最終

ワールド

原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「メーガンは他の女性と異なる」...メディアとファン…

  • 4

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 2

    「メーガンは他の女性と異なる」...メディアとファン…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 1

    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…

  • 2

    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…

  • 3

    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 5

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:米大統領選と日本経済

特集:米大統領選と日本経済

2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる