子供の「名付け」で重視するのは特別さ?伝統?占い? アメリカの親たちの事情
“I’m a Baby Name Consultant”
好きな名前を解説するインスタのアカウントが転機になった TAYLOR A. HUMPHREY
<昔からの「趣味」に導かれて、筆者が始めたのは赤ちゃんの命名コンサルタント。特別な瞬間を迎える家族を手助けできるのは大きな喜びだ>
赤ちゃんと、赤ちゃんに付ける名前に、私は小さい頃から夢中だった。年下のいとこが生まれるたびに命名のプロセスに魅了された。文字が読めるようになると、名付けの本を借りたくて、図書館へ連れて行ってと母に頼むこともあった。でも、この変わった趣味は少し恥ずかしかったから、ずっと秘密にしていた。
2015年、私は初めての脚本を執筆していたが、行き詰まっていた。そのとき、自分が好きなのは登場人物の名前を選ぶことだと気付いた。
創造性を発揮する場が欲しかったので、インスタグラムに開設したアカウント「ホワッツ・イン・ア・ベビー・ネーム(赤ちゃんの名前の意味は)」で、自分にとって特別な名前について詳しく解説することにした。当初は個々の名前の歴史や起源、文化との関わり、数秘術で占う運勢を紹介していた。意外なことに、最も関心が高かったのは数秘術だった。
それから3年後、さまざまな名前の収集に興味が募り、与える印象やテーマ、カテゴリーごとにリストを作り始めた。それがきっかけで「わが子の名付けをお願いしたい」というメッセージが来るように。以来、何年もフォロワーと直接やりとりしながら無料でアドバイスしたり、以前の投稿を紹介したりしていた。
18年の秋には、産前産後の女性をケアする専門職、ドゥーラを目指して訓練を始めた。名付け専門のコンサルタント業に乗り出したのは、親になる人々を支えたいという願いに、名前に関する知識を生かせると気付いたからだ。
最近アメリカで人気なのは「セオドア」
初めてのクライアントは、代理出産で長男を迎える男性だった。長い時間をかけてリストをまとめ、クライアントと一緒に候補を厳選した。どれも数秘術や家族の歴史を重視し、リサーチと検討を重ねて選び出した名前だ。このやり方は今も変わらない。
彼はわが子を「セオドア」と名付けた。ここ数年、アメリカでとても人気が高いファーストネームだ。多くの相談者は特別な名前を探していると語り、ポピュラーなものには慎重になることがある。でも人気の名前は、みんなに愛されるからこそ人気なのだ。
これまでに学んだ最大の教訓の1つは、自分の意見を度外視するということ。最初の頃に相談を受けたカップルはある名前を選んだが、どのスペルにするかで迷っていた。伝統的な名前がいいとのことだったので、より一般的なスペルを強く推薦した。