「卵子凍結し、体外受精児を産む権利を保証し、社会保険で賄うように」さもなくば少子化は止まらない
中国でゼロコロナ政策が続けば2023年に再び出生数が激減する予測も(写真はイメージ) wolfhound911-iStock
<「政府は出産、子育て、教育にかかるコストを削減するとともに、女性の人身売買を撲滅するべきだ。卵子凍結技術へのアクセスを拒否されている独身女性の、リプロダクティブライツの拡大もできるだろう」>
中国では昨年、婚姻件数が過去最低を記録した。10年近くにわたり減少を続け、出生率を上げるための取り組みに影を落としている。中国民政府の発表によると、2021年の婚姻件数は約763万件。記録が始まった1986年以降で最低となった。
2020年の813万組以上、2013年の1346万組のピーク時と比べると、その差は歴然。中国の人口1,000人当たりの婚姻件数は、2013年に9.88件だったところから、昨年は5.41件まで激減した。婚姻率は上海と浙江省、福建省、河北省、湖南省が最も低く、一方チベット、青海、貴州、安徽、寧夏は高かったと同省は発表している。研究者は、長期的な要因と短期的な要因が作用していると述べている。
長期的な要因、短期的な要因が絡み合う
人口統計学者であるHe Yafu氏は、中国の若い女性の結婚や子育てに対する考え方が変わりつつあることを指摘する。「教育や経済的自立のレベルが上がるにつれて、独身女性の割合が増えている。夫に頼らなくても、結婚しなくても、十分生きていける」
2021年の当局のデータによると、20歳〜34歳の成人のうち、少なくとも学士号を持つ女性は52.7%を占めた。また、中国共産主義青年団が10月に18歳〜26歳の都市部の未婚者を対象に行った調査では、女性回答者の43.9%が「結婚するつもりはない」または「するかどうかわからない」と回答している。これは未婚の男性回答者より19.3%高い。
また近年、多くの若い女性が、家庭内暴力、家事労働責任の不平等、働く母親に対する差別などに懸念を示し、結婚はもはや「リスク視」されている。さらに、国内の男女比のアンバランスも婚姻数減少に拍車をかける。1980年代に一人っ子政策が導入されて以来、男性の出生率は女性より高くなった。約2億2000万人のZ世代(おおよそ1995年から2010年の間に生まれた人々)のうち、男性が女性よりも1827万人多いことが分かっている。一人っ子政策は、2015年に2人、昨年は3人に緩和された。
出産諦め傾向とパンデミックがなければ...
ウィスコンシン大学マディソン校の研究者は、新型コロナウイルス感染症の大流行も婚姻件数の減少に起因していると指摘する。もしパンデミックがなければ、昨年の婚姻件数は797万件、つまり実際の件数より34万件多くなっていたはずだという。「多くの人が子どもを持つことをあきらめていることに加え、パンデミックによって出生数は数百万人減少するだろう」
国家統計局によると、出生数も減少傾向にあり、2021年に生まれた乳児は1062人と5年連続で減少、前年比11.5%減となった。出産制限の解除を提唱する研究機関「育娲口研究」は、中国は世界で最も低い出生率の国の1つであると指摘した。出産可能な年齢の女性1人当たりの子どもの数は2016年の1.77人から、昨年は1.15人と減少に転じている。(1.5を下回ると人口減少を意味する)