最新記事

トラベル

クルーズ船は魔法の空間...めくるめく「ロマンスの世界」で私が経験したこと

I Sing on a Cruise Ship

2022年03月02日(水)17時17分
ケイト・リンデマン(クルーズ船歌手)
ケイト・リンデマン

クルーズ船の旅はロマンスの格好の舞台 @KATELINDERMANMUSIC

<船上で日の出や美しい景色を観賞し、移動と共に毎日違う国でデート。生命力と活気に満ちた「歌と恋と美」の世界が、再び帰ってきた>

初めてクルーズ船に乗ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。2014年7月、オズの魔法の国に迷い込んだかのようだった。

船が動きだしたとき、私は『レ・ミゼラブル』の「夢やぶれて」を歌っていた。1000人の観客を前に、船酔いせずに歌い上げる。それが私の仕事だった。

以来、15隻ほどのクルーズ船でシンガーやパフォーマーとして働いてきた。タイタニック号のような昔ながらのクラシカルな船もあれば、カラフルなネオンがきらめく小都市のような船もある。初めはゲスト出演で、ツアーの途中に1週間だけ乗船して降りるという具合だった。その後は2年ほどレギュラー出演の契約を結び、船上で数カ月間過ごすときもあった。

クルーズ船の旅では、出港と入港の際にぜひオープンデッキに出てほしい。美しい港への出入りは魅惑的だ。

日の出とともにシドニー湾に入ると、橋とオペラハウスが迫ってくる。ニューヨークに到着するときは自由の女神のそばを通る。間違いなく早起きする価値のある瞬間だ。

濃密な環境で、自然と恋が始まる

船内ではあらゆる人々の間でロマンスが繰り広げられる。長い船旅に出れば、恋も自然に始まるというもの。濃密な環境で一緒に過ごし、デートの場所には事欠かない。おまけに、お互いの船室は歩いて3分もかからない。

私はこれまでに2回、クルーズ船で大恋愛を経験した。16年のアジア航路では、ハロウィーンに乗員専用のバーで、ある男性と知り合った。1カ月もたたないうちに彼は私の船室に越してきて、その旅が終わるまで4カ月間、一緒に暮らした。

船上のデートはとてもエキサイティングだ。毎回「違う国」でデートできるかもしれない。彼と初めて会ったときも、水曜日は中国でランチをして、金曜日は韓国、週が明けて月曜日には日本でデートをしようと冗談を言った。私たちは今も一緒にいる。

パンデミックが始まったとき、私は乗っていた船を降りてシドニーから飛行機で帰国することになった。すぐには戻ってこられないと分かっていた。私は船の後方に立ち、ライトを消した空っぽのクルーズ船が次々に通り過ぎていくのを見送った。いつもなら生命力と活気にあふれている船が、まるで死者の船だった。涙があふれた。20年3月のことだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏への量刑言い渡し延期、米NY地裁 不倫口

ビジネス

スイス中銀、物価安定目標の維持が今後も最重要課題=

ワールド

北朝鮮のロシア産石油輸入量、国連の制限を超過 衛星

ワールド

COP29議長国、年間2500億ドルの先進国拠出を
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること