女性上司からのフィードバックはムカつく 20代従業員は差別しないが...
女性には褒められることを期待してしまう
ミドルベリー大学の経済学者マーティン・アベル博士はこのブラックボックスにメスを入れようと挑んでいる。
アベル博士が主導する調査では、まず、領収書を書き写す転記の仕事を依頼しようと2,700人の労働者をオンラインで募集・雇用した。グループの管理者には男性と女性をランダムに割り当てた上で、どの労働者がパフォーマンスのフィードバックを受けるかをランダムに割り振った。
その結果、女性の管理者によるフィードバッグを受けた人は、男女ともに否定的な反応を示すことが分かった。被験者たちは、女性によるフィードバッグは、男性によるフィードバッグよりも、仕事に対する満足度の低下につながると報告した。また、女性の管理者から批判された場合、この先その会社で働きたいと思わなくなる、という声もあった。
さらに、この研究で労働者メンバーに割り振られた被験者は、無意識のうちに男性を「キャリア」に、女性を「家庭」に関連付ける可能性が高いことが分かったが、この傾向から女性の上司を差別するかどうかは予測できるものではない。また、女性管理者に接する機会の少なさが原因ではないとしている。
むしろこの結果から浮き上がったのは、管理スタイルに対するジェンダーの期待だと思われる。ある研究では、労働者は女性上司から賞賛を与えられることを3倍、男性上司に対して批判されることを2倍連想する傾向があることが示されている。人は自分の期待通りにならないことがあれば、否定的に反応するものだ。
この研究の成果を、古い体質の職場環境にどの程度まで落とし込み、一般化できるかはまだ未知数だ。とはいえ、ギグ・エコノミーやリモートワークなど働き方は、急速にその形を変えつつある。
ギグ・エコノミーやリモートワークの柔軟性に注目して、特に女性にメリットがあると主張する人もいる。しかし、アベル博士の研究結果は、こういった流行りで一見耳触りの良い仕事の規制監督や機会均等保護の欠如によって、ギグ・エコノミーにおける差別に関するさらなる懸念を浮き彫りにするものである。